ペットオーナー講座シリーズ
猫の肥満
肥満のネコちゃんのための食事について
ネコちゃんの肥満
肥満したネコちゃんはあまり見栄えのよくないものです。場所をふさぎ、動きがにぶく、自分でグルーミングすることもできません。運動能力はめっきり落ち、皮フ病にもかかりやすくなります。また、糖尿病にかかる危険性も増大しますし、外科手術や麻酔の際のリスクも高くなります。
動物は普通、必要以上のカロリーをとり続けると肥満になります。食事の与えすぎや運動不足などが主な肥満の原因ですが、このほかには、妊娠、環境、体質、年齢、遺伝素質などの要因があげられます。
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体の状態を把握する
ネコちゃんの体の状態を知ることは、栄養の状態を知るための大切な一歩であり、肥満を見つけるのに役立ちます。この項ではネコちゃんのボディコンディションの図表を用意しました。説明に従って、ネコちゃんの体の状態を観察してあげてください。
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獣医さんに見せる
ネコちゃんが太りぎみ、あるいは肥満の疑いが強い場合は、必ず獣医さんによる総合的な診断が必要になります。なぜなら、その肥満の原因が単なる食べ過ぎや運動不足ではなく、健康上の理由によるものかもしれないからです。減量・体重管理プログラムを始める前に、必ずこの点を見極めてください。
猫の湿った咳
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方向転換
肥満は治すより防ぐほうが簡単です。ただし肥満になっても取り返しがつかないということはありません。長い時間辛抱できる強い意志があれば、元に戻すことは可能です。運動量をふやし、習慣を改善し(あなたも、ネコちゃんも!)、カロリー制限をすることが、ネコちゃんの肥満に立ち向かう武器となるのです。
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では始めましょう!
まずネコちゃんの運動量を増やします。手始めに、ネコちゃんが気軽によじ登れるキャットツリーを用意してください。次に、ネコちゃんが走って追いかけることができるものを投げてやりましょう。あるオーナー様は1粒ずつドライフードを投げる方法を工夫しましたが、そういう遊びもよいでしょう。散歩に連れていくことも手でしょう。ほとんどのネコちゃんはリードでの散歩に慣れれば、それを楽しむようになります。いろいろと想像力を働かせてください。ただし注意が必要な場合もあります。太ったネコちゃんを急激に運動させてくたびれさせたり体温を上げすぎたり息切れさせたりしないでください。高齢のネコちゃんに激しい運動をさせてはいけないこともお忘れなく。
愛情の印におやつをあげるよりも、遊んだりグルーミングをしたり、なでたり、話しかけたりしましょう。ヒトの食事中におねだりをするネコちゃんに抵抗できないようなら、その時間はネコちゃんを別の部屋に移しましょう。
家にネコちゃんが複数いる場合は、常に食事をめぐる競争が起こり、その戦いの勝者が肥満してしまうことがあります。この場合はできれば食事時間にネコちゃん同士を離すようにしましょう。
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食事の管理
ネコちゃんはエネルギー源として第一に脂肪を使います。生体が必要とする以上のエネルギー(カロリー)を摂取するネコちゃんは、その余分なエネルギーを脂肪の形で蓄積します。太りぎみや肥満のネコちゃんは、摂取カロリーが炭水化物の形の場合よりも脂肪の形の場合の方が簡単に脂肪を蓄積します。脂肪を消化の高い炭水化物で代替する食事は優れた低カロリー食です。消化のよい炭水化物のカロリーは同量の脂肪の半分以下ですし、消化しにくい線維質も含んでいません。こうしたフードの場合にも給与量のコントロールが必要ですが、普通のフードを与えているときほど厳しくする必要はないでしょう。
たとえ減量をしている時でも、ネコちゃんの食事に関しては通常の線維質量を守ることが大切です。ネコちゃんの減量用をうたった高線維質フードは避けましょう。高線維質フードは多くの栄養素の消化と吸収を妨げます。それに加え、栄養的に質の劣る食事であるばかりか、排便回数や糞便量を増やし、皮フや被毛の状態を悪化させる恐れがあります。
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まず初めに
ネコちゃんの減量プログラムは、まずカロリー摂取量を従来の摂取量の25%減らし、次に1週間につき1%の減量を達成できるようになるまで、2週間〜3週間ごとに10%までの量を減らしていきましょう。あなたのネコちゃんが5kgである場合1%の減量とは約50gを意味します。
1日に1回、大量の食事を与えている場合や、食べ物をいつでも出している場合は、1日あたりの量を何回かに分けて(少なくとも1日2回)出すようにしてください。食事を出して30分後には残りものをすべて片付けるようにしてください。
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ネコちゃんのボディコンディションの図表
急がずゆっくりと
食事はゆっくりと切り替えるようにしましょう。前のフードに新しいフードを混ぜ、その割合を1週間かけて徐々に増やしていきます。この方法ならば新しいフードを無理なく好むようになり、消化器に問題が起こるというリスクも減らせます。
ネコちゃんの減量にはとりわけゆっくりしたプロセスが必要ですから、辛抱強く続けましょう。摂取する食べ物を急激に減らすと、ネコちゃんが肝リピドーシス(脂肪肝)という深刻な肝臓の疾患にかかる危険性があります。
減量作戦はうまくいかなかったり停滞することもあります。肥満したネコちゃんが15%の減量に成功するには少なくとも4か月かかります。体重が増えてしまったり、停滞したりしたら、ネコちゃんの体の状態を調べなおし、そこから再出発しましょう。
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体重管理プログラムを始めるためのヒント
- 体重管理プログラムを始める前に獣医さんの検診を受けます。
- 赤ちゃん用のはかりを使って2週間ごとにネコちゃんの体重測定を行います。
- 低脂肪、高炭水化物のフードで脂肪から摂取されるカロリーを制限します。
- おやつをあげるのをやめます。
- ネコちゃんの運動量を増やします。
- ネコちゃんに1粒ずつドライフードを投げて、遊びながら食事をさせてみましょう。
- 1日の食事を少量ずつ何回かにわけましょう。
- 1週間に元の体重の1%〜1.5%以上減量してはいけません。
- 辛抱強く着実にやりましょう!
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